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015 髪型

last update Huling Na-update: 2025-12-04 11:00:10

「悪い冗談かと思ってたんだけど、本当だったんだね」

 そう言って微笑んだ花恋〈かれん〉が、ティーカップをテーブルに置いた。

「初めまして、でいいのかな。10年後の世界にようこそ、恋〈レン〉ちゃん」

 蓮司〈れんじ〉と会った時とはまた違う、変な緊張感を感じながら、恋はうなずき紅茶を口にした。

 * * *

 この世界の花恋も、一人暮らしをしていた。

 ミウから住所を聞き訪れた場所。そこは恋の実家から徒歩5分ほどの場所にある、二階建てのハイツだった。

 花恋と会って最初に驚いたこと。

 それは、腰の辺りまである髪がばっさりと切られていたことだった。

 肩に少しかかる程度になっているその姿に、恋は様々な思いを巡らせていた。

「髪」

「え?」

「さっきから髪ばっか見てるよね、恋ちゃん」

「あ、いえ……ごめんなさい」

 頭の中を覗き込まれたような気がして、恋が思わずそう口にした。

「まあ、仕方ないかな。恋ちゃんの頃の私って、自分の髪を気に入ってたし」

「蓮〈れん〉くんも……ですよね」

「うん。確かに蓮司も、褒めてくれてたね」

「はい」

「だから切ったの」

「……」

「私たちが別れてるって、もう知ってるんだよね」

「はい……蓮司さんから聞きました」

「色々あったんだ、私たちも。恋ちゃんの頃から10年、10年だからね」

「そう……ですね」

「あいつと正式に別れて、もう3年になるし」

「正式にって、どういうことですか」

「大学卒業の頃には、連絡を取り合うこともほとんどなくなってた。たまにご飯を食べに行って、近況報告をして。そんな状態が3年ぐらい続いてたんだ。そしてある時、私の方から言ったんだ。『私たちの関係、これって続ける意

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